水と焼酎

私が幼い頃の話です。
私の家では、夜寝る時はみんなで一部屋に集まって寝ていて、ダブルベッドとベッド下の布団に家族全員がごろ寝していました。

母は寝る前に必ず本の読み聞かせをしてくれましたが、疲れている時は読み聞かせをしながらウトウトし始めて、子供より先に寝てしまいます。
3歳から5歳くらいまでの幼い子供達は元気がよくなかなか寝なかったので母を困らせた事でしょう。
読み聞かせを聞いて想像力が豊かになると興奮して眠れないのです。
なかなか寝ない子供達の相手をするのに疲れてしまった両親は先に寝てしまいます。
すると、寝室の静けさが怖くなります。
そして早く寝ないとおばけが来ると思っていました。
可愛い思い出です。

ある日、深夜にのどが乾いた私は両親の枕元にあったグラスを手にとりました。
そして母を起こして『これ飲んでいい?』と聞きました。
母は寝ぼけ眼で『水だからいいよ!』と言うのです。
しかし、グラスを近づけるとどうもお酒くさい。
再度母に『これ、本当に水なの?』と聞くと、母はしつこい私に怒り口調で「水だから飲みたく無いなら飲まなければいい!」と言ってきました。
母の剣幕にビビってしまった私は、母の言葉を信じてぐいっと飲みました。
すると、それは焼酎だったのです!

その味に驚いた事!!
初めてのアルコールだったから刺激は強いしまずいし、最低最悪の体験でした。
私はその場で焼酎を吐き出して母に『お酒じゃん!』って怒りつけました。
母は我にかえって『ごめん、ごめん』と、水を飲ませに連れて行ってくれました。

大人だって完璧じゃないし、間違いだってありますから…
今となっては母の気持ちも良く分かるような気がします。
子育てって、大変ですね。